今年のノーベル経済学賞が発表された。受賞したのは米マサチューセッツ工科大(MIT)のダロン・アセモグル氏とサイモン・ジョンソン氏、米シカゴ大のジェームズ・ロビンソン氏の3氏だ。彼等の研究は、旧植民地の国々が繁栄へ至る道筋は、旧宗主国がその国に確立した構造によって異なり得ることを明らかにした。繁栄はどのように実現し、その過程において制度がどのように役割を果たしたかという分析が評価され、今回の受賞となった。
確かに価値がありそうな研究だが、まだ論文を読んだことがないし、正直それほど興味を唆られない…
しかし受賞者の一人がダロン・アセモグル氏というのは面白い。彼は「自身は人工知能(AI)悲観論者ではない」としながらも、「AIがどれほど有望であろうと、その過剰な期待に応えられる可能性は非常に低い」と警告を発している。それはAIへの熱狂や、その熱狂が引き起こす投資ブームと驚異的なハイテク株急騰が、止まるところを知らないからだ。
AIに奪われる職、あるいは少なくともAIに大いに依存する職は向こう10年でわずか5%に過ぎないというのが、ダロン氏の計算だ。労働者には確かに朗報だが、生産性の急上昇を見込んでAIに巨額を投じている企業にはとても悪いニュースだ。「多額の資金が無駄になるだろう。5%では経済の革命は起きない。」と言っている。
彼はAIバルブルの「程度の異なる3つのシナリオ」を述べているが、とどのつまりは、この熱狂がどこまで続くかで被害の大きさが変わってくることを示している。まさに「山高ければ谷深し」ということだ。残念なことに2024年10月現在では熱狂は収まっていない。どこまで膨らむか…