海を制するものは世界を制する。これはアメリカの海軍士官であり研究者であるアルフレッド・セイヤー ・マハンの言葉だが、現在では「シーレーン(Sea Lane)」の重要性は世界に認識されている。
歴史的に見ても、海を制するものが世界を制してきた。無敵艦隊を擁したスペイン、風車を利用し戦艦を量産したオランダ、そして7つの海を制し「太陽の沈まぬ国」となった大英帝国。第二次世界大戦以降はアメリカがイギリスの地位に取って代わった。
世界貿易に占める海運輸送の割合は86.6%にも達しており、圧倒的だ。日本は島国なのでその割合は非常に高く、ほぼ100%(99.6%)となっている。海運が断たれると日本も世界も成立できない。当然、海の大切さは交易だけに限らず、軍事、漁業、資源開発など多岐にわたる。
そして「海を制する」ことを目論んでいるのはアメリカだけではなく、ロシアも、そして中国もだ。グリーンランドは世界のパワーバランスの中でどのような決着を見せるのか。そこに先住民であるイヌイットの意向がどれだけ反映されるのか。状況は非常に流動的で、今回のトランプ再登場で流動性は更に加速されていくことになる。北極圏の地政学は意外にも熱い。