2024年11月5日トランプが再び大統領選挙に勝利した。多くのメディアの事前報道に反し、今回はトランプ共和党の完璧な勝利だった。

勝敗の鍵を握る「スイングステート」と呼ばれる激戦7州の全てで勝利し、選挙人獲得数(T 312人:H 226人)だけでなく、総得票数(T 7685万票:H 7434万票)でも20年ぶりに民主党を上回った。

しかも同日に行われていた上院・下院の選挙においても共和党が過半数を確保し「トリプルレッド」といわれる状況を達成し、基本的に全ての法案を通せる完全勝利の状況となった。

実は、トランプが2016年に大統領になった時も、実はこの「トリプルレッド」が成立していた。だから「トランプ減税(連邦法人税の最高税率35%→一律21%)」と呼ばれる大規模減税法案を、すんなりと成立させるなどの成果を上げることができた。しかし2018年の中間選挙で、下院を民主党に奪われた為、その後の政権運営が非常に不安定になり、その後の「コロナパンデミック」もあり、2020年の大統領選挙ではバイデンに政権を委譲することになった。しかもこの時は上院・下院も民主党になり「トリプルブルー」で、民主党が完勝している。

アメリカでは大統領が「スーパーマン」で、何でもできるような気がするが、実はそうではない。アメリカ憲法は「すべての立法権は連邦議会に属する」と規定しており、三権分立(司法/行政/立法)の「立法」のトップは「議会(上院・下院)」だ。なので法案を提出するのも、成立させるのも「議会」で、大統領では無い。大統領はあくまで「行政」の長だ。

大統領には法案に対し「拒否権」があるが、法案を作るはあくまでも「議会」だ。大統領はそれを執行する役割に過ぎない。その意味で「議会」をどの党が支配するかが、政権運営の肝になっている。その意味でも今回の選挙は、間違いなくトランプ共和党の完全勝利だった。