選挙後の報道では「バイデン政権の失政が原因」と言われているが、本当にそうなのだろうか?
メディアの報道は大統領のパワーを強調し過ぎているきらいがある。しかし大統領は「スーパーマン」ではない。アメリカの政府機構は非常に巨大だ。大統領が変わったからといって、すぐに変化出来るものではない。アメリカ政府の文民職員は全体でおよそ300万人に上るが、そのうち大統領が任命権を持つのは3000人前後で、全体の0.1%程度にすぎない。
だから政府機構は、大統領の介在とは無縁に機能しており、新大統領は、就任するよりはるか以前に成立した予算法や、法律で定められた主な支出計画(退役軍人恩給、社会保障給付、メディケア医療保険など)を引き継ぐ。外交でも大統領は、前任者が在任中に交渉した条約や非公式の協定に従わなければならない。
だからトランプが最初に政権を取った時も、「トリプルレッド」でありながらも、トランプが忌み嫌った「オバマケア」と呼ばれる社会保障政策を廃止することが出来なかったし、バイデンの時も、トランプが成立させた「メキシコ国境の壁」は建設され続けた。
更に言うなら、アメリカでは「州」は「連邦政府」の下部組織では無いため、大統領の権限が及ばない。例えばオバマケアも、採用するかどうかは州政府しだいなので、現在でも10の州で採用されていない。
この様に、大統領は「スーパーマン」ではない、選挙の敗北を「すべて大統領の失政」とするのは、あまりにも理不尽な気がする…